漠然とした不快感からの脱出

 一般的に市販されているシャンプーの、無性に泡立つのが嫌でたまらない。どれだけ流しても、ぬめった感触が取れないように感じる。

 そのため、石鹸をシャンプーに、酢をトリートメント代わりにして過ごした時期もある。市販のシャンプーよりすっきりとして、気分も爽快になるので気に入っているのだが、どうしても洗い上がりの手入れが大変になる。また、市販のシャンプーと比較して環境によいかというと、どうも微妙な情報が多い。(浴室の排水溝にもかすがつまり易いので、まず環境に優しいとは思えない)

 

 そして……最近、何だろう? やたらと香りを付けた製品が、多くないだろうか……??

 

 以前、ある理由で精神的に不安定になった時があり、その時に感じたことがある。人が感情的に落ち着いた生活をするために、「匂い」はかなり重要であると。

 そういう時も思考は変わらず働くのだが、周囲の人々との心情的な繋がり感が薄くなってしまうので、感情的に落ち込んだり、イライラしたりしていた。私は自分の気持ちを落ち着かせようと、ひたすら「自分の匂い」を探していた。(しかしながら、一時は入院したので、「自分の匂い」が見つかるはずもなく、非常にしんどかった)

 その自分の行動は考えてしたことではなく、とにかくそうせざるを得なかった部分で、本能的なものだと思う。そして恐らく、私は一人暮らしのため「自分の匂い」を探していたわけで、家族住まいの方であれば、それは「家族の匂い」であったり、「家そのものの匂い」であったりするのかもしれないと思った。(他人の家へ遊びに行くと、家固有の匂いのような、独特な匂いがあったりするものだ)

 また、心情的な面を考えると、育った環境の匂いは最も影響が強いのではないかと思った。安心する匂いの代表として、私は三十幾つを数えた今でも、幼いころに嗅いだ母の手の匂いを思い出す。

 

 そういうわけで、押しつけがましい香りがなくて、嫌なぬめりもなく、洗い上がりがすっきりとして、さらに環境にも配慮したシャンプーという、おいしい話がないか探してみた。すると、なにやら「美容師さんの手に優しい」らしい、愛あるシャンプーがあるそうだ……!(業務用のため、単位当たりの価格も良心的。デメリットは、量……)

 満足できずに、それでも仕方なしに、何となく市販のシャンプーと石鹸とを交互に使用していた日々が、変わるといいなあと思う。結果の良し悪しを後日記載したい。